「名もなき毒」を読んで
- 2015.04.07
- 書籍
宮部みゆきさんの「名もなき毒」という小説を読みました。
解雇したトラブルメーカーの女性と無差別連続毒殺事件を絡めた話で、知識欲を満たす読書もいいけど単純にエンターテインメントのための読書もいいなあと思います。
主人公は解雇した元アルバイトの女性に嫌がらせをされ、またその関係で連続毒殺事件にも首を突っ込んでいくのだけれど、人の良い主人公を通して、世の中の毒、人の中に存在する想像できないような悪意に警鐘を鳴らしたかったのかも。
このトラブルメーカーの女性は、全てにおいて自分中心で自分に都合のいいように思考し、思い通りに進まないと怒り時には暴力までふるうという考えられない性質を持った人間なのです。小さい頃から根っからの嘘つきで、なぜそういう人格が形成されたかは不明ですが、昔から散々他人を悩ませてきたようです。
こういう人物に相対した時、善人はえてして自分の方に非があるのではないかと思い込んでしまうことがあります。主人公の勤める編集室の編集長もそうなのですが、昨今のネット社会で分かったことは、巨大掲示板などで他人を中傷したり脅迫めいたことを書き込んで楽しむ、そういう毒(悪意)を持った人が一定数いるんだということですね。
世の中の九割以上が善人で、そういう人達に対しては性善説であたればいいと思うのだけれど、残りの数パーセントにとんでもない自分勝手な思考をする人がいて、そういう人達のために決め事や法律が必要になってしまったんだろうなと感じました。
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