れんげ荘の続編「働かないの-れんげ荘物語」を読んで
- 2015.10.24
- 書籍
以前読んだ、群ようこさん「れんげ荘」の続編です。
あれから数年経ち、主人公のキョウコはまだれんげ荘に住んでいました。大地震がきてもれんげ荘は倒れることもなく無事で、新たに長身のスタイルも性格も良い女性が入居したりします。
ふとしたきっかけで刺繍に興味を持ちますが、真面目な性格なので疲れるほどやってしまったり、そういう日々の話です。自分が選んだ働かない人生を、これでいいのか、これでいいんだ、と三歩進んで二歩下がるような暮らしです。
一度役所から調査の電話がかかってきます。丁寧な口ぶりなのですが、仕事はしているのか、家賃はどうしているのか、など訪ねられることがありました。
以前、立派な会社にいて能力があるのに勿体ないのではとか、就職活動はどうしているのかとか、働かないのは体が悪いのか、たまにはアルバイト収入はありますよね、とか根ほり葉ほり聞かれ、
「私は自分が好きで無職なんです。仕事を見つける気はないので、就職したい方々に時間を割いてあげてください。」
と啖呵を切ります。なかなか自らの意志で働かない生活を選んでいるということを理解してもらえないのです。
また、今後の参考に、どうして働きたくないと思われたのか、教えていただけませんか?と問われ、
「もう一生分、働いたと思ったからです。朝から深夜まで、嫌なことも理不尽なことも我慢して。その分高給だったので、我慢出来るだけ我慢して、お金を貯めてやめたのです。なのでもう働く気はありません。」
とびしっと返しました。
ここまで言ってもいわゆるフツーにやっている世間一般の人達は、なかなか附に落ちないのかもしれません。
新しく始めたい趣味を見つけたもののなかなか踏み出せないでいると、友人から「一歩踏み出しなさい。自分が動かないと何も動かない。できるできないはその後の問題。」といわれます。
お隣のクマガイさんには「いいじゃないの。途中でやめたって」と言われたり、背中を押されてやっと始めます。真面目すぎてできなかったらどうしようとか思うのです。
読んでいて主人公キョウコのそういった真面目で考え込んでしまう性格をじれったく思いました。私も元々近いものはあるのですが、既にかなり開き直ってしまっているので。
でも実際に働いていた時のような、もっとああすれば良かったのでは?とか、自分は何もしなくていいのだろか?と思い悩むような思考はなかなか離れないものですよね。
なので、そういうリタイア生活者の相談相手になるような本かもしれません。仕事も何もしなくても、自分には価値がないとか考えなくても良いのですけどね。真面目な人ほど悩んでしまうものだと思います。
主人公はいい友人もいるし、住んでいるれんげ荘でも周囲の住人に恵まれ幸せそうです。
これを読んで最後に思いましたね~。いつになるかは分からないけれど、自分だけのれんげ荘を見つけようと(笑)。いやめぞん一刻なら尚楽しいかもw。(ってそんなディープな近所付き合いは好まないけどね)
今回のはこれの続編なので、できたらこっちから読んだ方がいいかも(以前読んだ記事)
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