聲の形(こえのかたち)全七巻を一気読み

マンガ大賞2015ノミネート、このマンガがすごい!2015オトコ編1位の作品です。

 

この漫画、高三になった主人公がヒロインを探して会いに行く場面から始まります。そしてすぐに小学校時代の回想へ。

耳の聞こえない女の子(ヒロイン)が転校生としてやって来ます。最初は世話をやいていたクラスの子供達ですが、筆談が面倒になったり合唱で変な声を出されたりで、徐々にヒロインが疎ましくなってしまうのです。

そしてそこから嫌がらせが始まっていじめになってしまいます。担任の提案でヒロインのために手話を覚えると手を上げた別の女子生徒をみんなでハブったりといじめは拡大します。

その嫌がらせの中心人物として主人公の男の子がいます。彼は最終的にヒロインに転校を余儀なくさせてしまいますが、それが原因で一人スケープゴートにされ、中学時代から今度は自分が無視される立場になり、孤立し苦しみます。

高三になった主人公は、ヒロインに酷いことをしてしまった過去を深く悔やんでおり、贖罪の気持ちからヒロインに会いに行きます。彼はヒロインに気持ちを伝えるため手話を覚えていました。そして冒頭の二人が再開する場面に戻り全七巻の中の第一巻はそこで終わります。
 

ろうあの少女は彼女なりに自分を責めていました。自分が原因で小学校時代のクラスがばらばらになったと責任を感じていて、彼女は彼女で自分さえ他人に絡まなければ波風が立たないのにという深い悩みを抱えているのです。

再開した主人公は過去の償い方が分かりません。ヒロインに謝罪してもそれは単なる自己満足であり、彼女のためにならないのではないかと悩みますが、孤立して死さえ考えていた主人公は、体があるうちは命をヒロインのために消耗したいと考えるのです。(漫画の台詞から) 罪悪感や義務感、使命感からかもしれませんが、そこに愛情が入っているように感じるのです。

また主人公とヒロインの再開から、バラバラになっていた小学校時代の友人達とも再び会うようになり、皆であることをスタートさせる…という展開になっていくのです。

 

 

 

障害にいじめと非常に重いテーマの作品ですが、ヒロインは子ども時代に酷い仕打ちを受けながらも主人公の男の子に対して優しさを見せていましたし、ヒロインが主人公に好意を持っているので恋愛の要素が絡んできます。それに主人公とその周囲のいじめを見て見ぬふりをしていた子供達が加わり、彼らの心の成長と過去を悔やむ気持ちや自分を正当化するような感情など、葛藤が描かれたような内容になっています。難しいテーマも含みますが、ど真ん中の青春恋愛ストーリーでもありますね。

聴覚に難のあるヒロインの恋愛ストーリーという意味では、常盤貴子と豊川悦司の「愛してると言ってくれ」を思い出しました。ヒロインが美人だったり可愛かったりするのは、こういう話のお約束です。

 

私は続きが気になって途中で止められず全七巻一気読みしたので、ストーリーとしては面白いと思います。最後ちょっと展開を急いだ感じになっていますがいい話だとは思います。いじめに障害を絡ませたテーマがテーマだけに、何だか色々と難しい話ですけどね。多くの人が障害について考えるきっかけになればいいと思いますし、何度か読んでみようと思います。

とはいえ全く重苦しい話でもなく、コミカルな部分も多いですし(いや、むしろコミカルが半分以上かも)、主人公とヒロインのお母さんの男前っぷりが共に格好いいのが印象に残りますよ。 しかし、青春時代が描かれた漫画を見ると、自分も高校生のような気分に戻って読めるから不思議。