「グラスホッパー」伊坂幸太郎

実家にいるので、こちらに置いてあるまだ読んでいない古い小説を引っ張り出して読んでいます。

伊坂幸太郎は数冊しか読んだことがないですが、勝手な印象で、軽妙なタッチの不思議な小説を書く人というイメージを持っていました。

この本はザ・エンターテイメントという感じです。殺し屋達が入り乱れる話で、色々な種類の殺し屋が何人か出てきます。押し屋とか。

押し屋って、実際にそういう事ってあるのかな。自分は交差点や駅のホームでは押されたら跳ねられる様な前方に位置取らない様に普段から心掛けていますけどw

あと自殺させ屋ってのも出てきます。小説の導入部で紹介のために議員秘書を自殺させるくだりがあるのですが、現実世界での同様のニュースも、あれって本当に殺られちゃってるのかもしれませんねえ。自殺屋は人をそういう気持ちにさせるある種の能力を持っていますが、秘書が死ななかったらどうなるのか聞くと、そういう場合は原因不明の一家焼死だと言われ追い込まれていきます。独り身だと家族が酷い目にあう心配はないのですが、殺される方法が変わるだけかもしれません。

この小説内では主人公の鈴木だけが普通の感覚に近い人です。彼の妻は車に轢かれて死亡しますが、それが事故ではなくおふざけ半分だったと知り、その復讐のために非合法な事を行う会社に社員として潜入します。その会社の社長の息子が復讐の対象なので近づくためですね。

それで社員として認められるかの試験として人を殺れと命令されるのですが、それを見届けに来た社長の息子が目の前で車に轢かれます。復讐の先を越された形になったのですが、実はそれが押し屋の仕事かもしれず、その押し屋らしき人物を現場から尾行する羽目になり…という出だしです。

内容はえげつないけど面白かったですよ。ちょっと最後の最後がよく分からなかったんですが。「回送電車が長くないか」ってもしかしてって感じがしたのでネットを検索してみたらネタバレ解説があるのだけれど、全体的にそういう話しだったということでいいのだろうか。そうだとしたら、じゃああの場面に戻るのかよってことで、一度経験?したとはいえ鈴木にはどうしようもないのではなかろうか。

ちなみに(あとで読んだ解説にも書いてあったのですが)グラスホッパーって何じゃらほいと思ってググったら、

グラスホッパー(grasshopper)
1 直翅類(ちょくしるい)の昆虫のこと。バッタ・イナゴ・キリギリスなど。
2 ペパーミントリキュール・ホワイトカカオリキュール・生クリームを混ぜた、緑色のカクテル。

グラス(芝や草地)をホップ(跳ね回る)するやつらということ? 小説中では虫の話が出てくるので、ここではバッタなどの虫の事ですね。先日イナゴの話をブログに書いたけど、こういう風に何となく繋がったりするから不思議です。

押し屋が言います。バッタが密集したところで育つと「群集相(通常は孤独相というらしい)」というタイプになり、そいつらは黒くて翅が長くおまけに凶暴だと。エサを求め別のところに行けるように飛翔力が高くなるということらしい。どんな動物でも密集して暮らせば種類が変わっていく。人間も東京のように混雑すると、穏やかに生きていくのは難しいし、翅を伸ばして遠くに逃げることもできない。ただ、凶暴になるだけだと。

都会を抜け出したいと感じるのは、その群衆相になりきれずに抵抗しているのかもしれませんね。また都会で生きていくには、群衆相でもなんでもある程度自分を変化させ、様々なものに対抗していく必要があるのでしょう。純朴な青少年が都会で変わっちまうのは生きていくためなのだ。