「フリーター家を買う」を一気読み

「フリーター家を買う」を一気読み

相当前からの積ん読本。タイトルは気になっていたが、家を買う理由はそういう事だったのか。(実際はフリーターが買うのではないのですけども…)

自分の若い頃だってもう少しはマシだったぞと思うくらいの駄目っぷりを発揮する主人公の誠治が、母親が病に罹ってしまったのをきっかけに、底力を発揮します。

きつい肉体労働のバイトにも耐え、就職を決め、家や母親のことを気遣いながら仕事にもやりがいを見出していくという、若者の成長物語です。

青臭くて安っぽいプライドから抜け出し、世の中や働くことには理不尽もあると自分の中で咀嚼し、一歩大人になっていく、そういう年代の話でもあります。

早期リタイア気質の自分が言うのははばかられますが、まともに働く気もせずにフリーターをやっていて、これではイカンと悩んだり迷っているような若者にお勧めです。軽く読めるし、もしかしたらやる気が出るかもしれません。

物語として、最初ダメダメ人間なのに中盤からの進化は目を見張り出来過ぎの感がありますが、主人公の誠治は上司に恵まれて、ある程度の方針を自分で打ち出していけるというのは仕事をする上で大きいですね。その上司がいたから、その会社を選んだということでもあるのですが。

バイト仲間の土木作業員が粗いけど懐が広くいい人達だとか、強くて正論をいう姉とか、登場人物が余りに極端な方向にステレオタイプ過ぎて現実味は無いかなあと読みながら思ったけど、それは小説としてのお約束でいいと思うし、非常に単純で分かり易くちょっといい本という感じでした。

多少ネタバレしますが、最後は恋も絡んでハッピーエンドといえるのですけど、その発端として猫がきっかけになっています。猫が病気の癒しにも恋のきっかけにもといい働きをしていて、久しぶりに猫をなでなでしたくなりました。

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